*技術史研究のための基礎文献 [[Bibliography for Historical Study of Technology]] [#m49ed9af]

技術史の研究に本格的に取り組みたいと考える人のために書いておきます。

大学院に進学することを考えているのでしたら、このサイトの[[リンクのページ>Links 1]]から、大学院生を募集している研究室を探してみてください。そしてその研究室に連絡をとって、何を研究したいのか、現時点で何を考えているのかを伝えて相談することをおすすめします。また、実際に研究室を訪ねて現役の大学院生と会い、入試や入学後の生活のことなどについてアドバイスを受けるのもいいでしょう((本当に受験するのなら、少なくとも過去の入試問題は知っておくべきです。))。

**序論 [#i8168591]

技術史というよりも、歴史学一般の研究入門書として、

-斉藤孝, 『歴史学へのいざない』新曜社, (1993).

を挙げておきたいと思います。巻末には読んでおくべき参考文献のリストがあります。

また、技術史というよりもむしろ科学史の研究を主題として書かれたものですが、現代において科学と技術は密接な関係にある場合が多いこと、また技術史について触れられた論考が収録されていることから、

-山崎正勝, 兵藤友博, 奥山修平, 大沼正則(編著)『科学史−その課題と方法』青木書店, (1987).

を読んでおくとよいでしょう。科学と技術の関係をとらえるうえで必要なことが書かれています。

ところで、

-クロォチェ(著), 羽仁五郎(訳), 『歴史の理論と歴史』岩波文庫, (1952).

を読むとわかるように、歴史学には長い歴史があります。技術史にもやはり、相対的にはずいぶん短いのですが歴史があります。欧米での技術史研究の歴史をふまえて、日本でそれをひとつの学問分野にしようとした著作が収められた、
-山崎俊雄(著), 木本忠昭(編), 『日本技術史・産業考古学研究論』水曜社, (1997).

は、技術史とは何かという問いに重要な答えを与えているといえるでしょう。

**技術史の方法論と技術論 [#w42fb1db]

基本的な論点をおさえておくために、

-中村静治, 『技術論入門』有斐閣, (1977).

は、少なくとも読んでおくべきでしょう。

現代において(批判的に)検討すべき課題として、とりあえず次のふたつをあげておきます。

+技術の社会構成主義(social constructivism):社会構成主義はアメリカの技術史におけるトレンドとなっているばかりでなく、日本においてもさまざまな社会科学の領域に影響を与えています。技術史に関していえば、技術の発達に社会的要因が大きく作用しているという意味において、社会構成主義はそれなりに説得力をもちます。しかし、技術は自然科学的あるいは工学的に規定される側面もあり、内的アプローチ((技術決定論(technological determinism)ではありません。))と呼ばれる方法論を無視してもかまわない、あるいは視野にも入らなくなってしまってはならないと考えています。
+科学技術是第一生産力:中国で公式に認められているものですが、日本ではまだあまり話題になっていないのではないかと思います。科学と技術は同じものではないし、そもそも「第一生産力」とは何か。いずれにしても、日本と中国の研究者が率直に意見交換を続けていくことが必要ではないかと考えています。

それから、科学史家 Thomas Kuhn によって提唱されたパラダイム(paradigm)の概念について。これはもう決着がついているはずなのですが、あまりよく理解されないまま言葉だけが使われ続けているということを指摘しておきたいと思います。Kuhn はその著書((Thomas Kuhn, The structure of scientific revolutions, Chicago Univ. Press, 1962. 中山茂訳『科学革命の構造』みすず書房, 1971.))の初版(1962年)においてパラダイムの概念を提唱していますが、概念のあいまいさなどから批判を受け、第2版(1970年)では彼自身がこれを放棄しています((邦訳では1969年の「補章」を参照。その後の展開を知るために、以下のような参考文献があります。Thomas Kuhn, The essential tension: selected studies in scientific tradition and change, Univ. of Chicago Press, 1977. 安孫子誠也, 佐野正博訳『科学革命における本質的緊張―トーマス・クーン論文集』みすず書房, 1998. 中山茂編著『パラダイム再考』ミネルヴァ書房, 1984.))。しかしながら、さまざまな分野の歴史的叙述においてパラダイムという言葉が使われているという(本来の意味は忘れられ、画期的なこと=パラダイム転換というような)実態があり、それを変えることはほとんど困難であるかのようにも思われます。Kuhn の発想がすべて駄目というわけではありませんが、ひとつだけいえることは、学術的な歴史叙述において、よくわからない概念を安易に使うべきではないということでしょう。
それから、科学史家 Thomas Kuhn によって提唱されたパラダイム(paradigm)の概念について。これはもう決着がついているはずなのですが、あまりよく理解されないまま言葉だけが使われ続けているということを指摘しておきたいと思います。Kuhn はその著書((Thomas Kuhn, The structure of scientific revolutions, University of Chicago Press, 1962. 中山茂訳『科学革命の構造』みすず書房, 1971.))の初版(1962年)においてパラダイムの概念を提唱していますが、概念のあいまいさなどから批判を受け、第2版(1970年)では彼自身がこれを放棄しています((邦訳では1969年の「補章」を参照。その後の展開を知るために、以下のような参考文献があります。Thomas Kuhn, The essential tension: selected studies in scientific tradition and change, University of Chicago Press, 1977. 安孫子誠也, 佐野正博訳『科学革命における本質的緊張―トーマス・クーン論文集』みすず書房, 1998. 中山茂編著『パラダイム再考』ミネルヴァ書房, 1984.))。しかしながら、さまざまな分野の歴史的叙述においてパラダイムという言葉が使われているという(本来の意味は忘れられ、画期的なこと=パラダイム転換というような)実態があり、それを変えることはほとんど困難であるかのようにも思われます。Kuhn の発想がすべて駄目というわけではありませんが、ひとつだけいえることは、学術的な歴史叙述において、よくわからない概念を安易に使うべきではないということでしょう。

**技術史の通史と個別分野の技術史 [#x0a657f8]

糸口として、次の2冊に載っている文献を参考にしてください。

-飯田賢一(編), 『技術の社会史 別巻 データ・ガイドブック』有斐閣, (1990).

-中山茂, 石山洋, 『科学史研究入門』東京大学出版会, (1987).

その他、このサイトにある[[文献探索のヒント>Links 3]]も参考になると思います。また、[[日本科学史学会:http://wwwsoc.nii.ac.jp/jshs/index-j.html]]の和文誌『科学史研究』には、「展望」という見出しの付いた文章が掲載されています。これはその分野における研究状況の概略をまとめたもので、関心のある分野の「展望」を手がかりにすることもできます。

**一次資料へ [#te16788c]

これまで紹介した文献を読んでいれば、いかなる分野の歴史研究においても一次資料が重視されることを理解しているでしょう。研究対象とする時代においてリアルタイムで作られたもの、文書だけとは限りません。当事者がいれば、実際に聞き取り調査をするといったこともあり得ます。現地に行かなければわからないことも多いでしょう。

そのような資料まで到達するだけでも骨を折ることはしばしばあります。投げ出すのも自由ですが、努力はできるうちにしておきたいものです。

**もう終わりですか? [#t7210424]

まだまだあるのですが、これは
 暫定的なメモ
ですから、少しずつ充実させていきます。とりあえず、上にあげた文献には、多くの文献が紹介されています。それをたどってみてください。

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