情報の技術史 History of Information and Communications Technology

通信

音声帯域モデム

私は1995年に「モデム技術の発展」という少し歴史的なニュアンスを含んだ簡単なレポートを、通信工学の教科書や ITU-T (旧 CCITT) で公になっていることをもとに書きました。

その時点では読んでいなくて、後になって見つけたモデムの技術史に関する論文を紹介しておきます。

この中で Pahlavan と Holsinger は、テレタイプが使われるようになった1919年までさかのぼり、1988年までを次のように4つの時代に区分しています。

  1. The Early Beginnings (1919年から1950年代はじめ)
  2. Growth in Demand, Knowledge, and Speed (1950年代なかばから1970年代はじめ)
  3. Extensive Research and Technology Advances (1970年代)
  4. Ultrahigh-Speed Modems (1970年代おわりから)

この論文が書かれた後、アナログ回線の音声帯域を使用するものとしては「究極のモデム*1」が開発、標準化されます。それが 28.8kbps の V.34 で、後に改良されて 33.6kbps になっていますが、通信路の両端がアナログの電話回線であれば、このあたりが限界でしょう。

この限界を超えるために、通信路の片側をデジタル回線 (ISDN) を利用するという方法がとられました。特許をめぐる訴訟も起きました。

xDSL モデム

従来から使われているモデムを使った通信路も、デジタル加入者線 (digital subscriber line, DSL) といえなくもありませんが、最近では音声帯域より高い周波数帯を利用する技術に関して ADSL や VDSL など、総称して xDSL と呼ばれています。

ここでは xDSL の技術を概観するのに適当と思われる本を紹介しておきます。

  • Walter Garalski, ADSL and DSL Technologies, McGraw?-Hill (1998).

なお、日本において ADSL 実用化の先駆的な例として、長野県伊那市での実験があげられます。この実験が始まってからしばらくの間、日本中に ADSL が普及するかどうかはっきりしない状況が続いていました*2

音声のパケット化

日本における最初のインターネット JUNET には、次のような「三原則」があったといわれています*3

  1. 不特定多数にはつながない
  2. ビジネスには使わない
  3. 音声は乗せない

いずれも電気通信事業法、通信行政(郵政省)に対する配慮によるものですが、日本の JUNET が合法か非合法かはっきりしない状況のもとで始まるよりもずっと前に、TCP/IP がインターネットの標準プロトコルになるよりも前に、アメリカでは音声をパケットに乗せて伝送する実験が行われていました。

情報とプライバシー権

電子情報通信学会の技術と社会・倫理研究会で発表したときのスライドを掲載しておきます(論文は『電子情報通信学会技術研究報告』掲載)。

この課題には継続的に取り組んでいく予定です。

書いたもの

  • 「1960年代における技術の発達とプライバシー権の変容−技術史的考察」電子情報通信学会技術研究報告 技術と社会・倫理, SITE2004-26, vol. 104, No. 662, pp. 17-21.(2005年2月18日).

*1 ITU-T 勧告 V.34 の冒頭にもそのように書かれています
*2 日本で使われている電話線はアメリカのそれよりも直径が小さくて抵抗率が高いため、ADSL には使えないとの議論もありました。
*3 村井純『インターネット「宣言」』講談社 (1995), p. 97.

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Last-modified: 2009-05-20 (水) 19:06:10 (3015d)