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ここに、小室等のCDシングルがある。
ベラルーシの少女/雨のベラルーシ
作詞・作曲:小室等、訳詞:ニコライ・ドミトリエフ 山崎瞳、補訳詞:ORIGA(1996年にフォーライフよりリリース、頒布元は日本チェルノブイリ連帯基金)

JASRAC の作品データベースで調べると、

作品コード 027-8827-6 ベラルーシの少女(ロシア語訳詞)
権利者 識別 信託状況 所属団体
1 小室 等 作詞 全信託 JASRAC
2 ニコライ・ドミイトリエフ 訳詞 無信託
3 山崎 瞳 訳詞 無信託
4 小室 等 作曲 全信託 JASRAC
5 サンライズミュージック 出版者 全信託 JASRAC

ということで、補訳詞の ORIGA とはどこの誰さんなのかわからないままだが、この歌はもしかしてベラルーシ語で歌われているのではないかという長年の疑問は晴れてロシア語であることがはっきりした。

日本語の原詞はこのCDジャケット裏に印刷されているが、小室等はロシア語で歌っている。原詞に「五月のベラルーシ」というフレーズがたびたび出てくるのだが、なぜ五月なのだろうか。

このCDはチェルノブイリ原子力発電所4号炉の炉心溶融・爆発という大事故で被害を受けた子どものための寄付金込みで頒布された。事故が起きたのは1986年4月26日のことである。発電所はウクライナにあったが、ベラルーシやロシアなど近隣の地域は強い放射能によって汚染された。事態の収拾は容易ではなく、「五月のベラルーシ」というのは事故による被害の「急性期」を意味するのではないかと思う。

この事故の影響を受けてベラルーシからロシアに移住した夫婦がいた。Мария Юрьевна Шарапова (愛称 Маша)の両親であった。彼女が生まれたのは1987年4月19日、事故からおよそ1年がたったころのシベリアである(ベラルーシではなくロシア国籍なのはこのため)。最近の全仏オープンでは準々決勝敗退したが、その前の4月には国連開発計画を通じて彼女なりの貢献をする旨を発表している。

岩波映画の羽仁進監督の「不良少年」(1961年, 新東宝配給, 90分白黒作品)は、著名であるにもかかわらず目にする機会は少ない。私は、深夜に放送されたものなのか、ケーブルテレビによる放送なのかよく憶えていないが、テレビの前で釘づけになって観たことがある。ビデオ録画もしたはずだが、テープはどこにあるのか自分でも把握していない。そのうち出てくると思う。

いずれにしても、はじめからしまいまで観たのである。映像では冒頭に、この映画がフィクションであって内容については監督に責任があることと、撮影に協力した少年に対する謝意が文字で示される。少年が逮捕され、少年院で生活する様子が描かれている。結末を明かしたとたんにつまらなくなるようなことはないが、プロセスを通じて緊張させられる作品である。

実を言えば、私は岩波映画にあまりなじみがない。このエントリを書く際にちょっと調べて田原総一朗が岩波映画出身だと初めて知ったほどである。

それはさておき、この映画の音楽を武満徹が担当していることはおそらく重要であろう。劇中で用いられている歌は有名な「〇と△の歌」である。今日では小室等がギターを弾きながら歌い、また合唱でもよく歌われている。映画の中でこの歌はごく控えめに、少年院の静かなグラウンドを映したシーンにおいて、うっかりすれば聞き逃してしまいそうなアカペラで歌われている。小室等の歌い方もそれによく似ているように思う。

合唱では、ややメリハリの利いた歌い方がなされるようである。たとえば2008年の新居浜混声合唱団定期演奏会のように。

ところで武満徹とは誰かと訊ねられるかもしれないが、国際的に著名な作曲家である。フィクションながら現実の少年に取材したドキュメンタリー風の「不良少年」に対して、まったく空想的な世界を描いた安部公房原作、勅使河原宏監督1964年の作品「砂の女」(カンヌ国際映画祭審査員特別賞受賞)の音楽も武満徹が担当した(主演の岸田今日子は、羽仁進と同様に自由学園高等科卒業生である)。

武満徹は65歳の癌による死をもって、大江健三郎にさらなる小説執筆の決意をうながすことになった。

さて、どのように話を羽仁進に戻すか。いや、ここに述べてきたとおりであるから、本当は話を戻すことにはあまり意味がないとも思う。ただ、武満徹の音楽が大きな影響力を持っていたことには言及しておかないわけにはいかないと思われるのである。ただ、武満徹の作品の歌詞の最後の部分だけを示しておきたい。バラライカは三角だぜ!