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	<title>Katsunori Tanaka&#039;s Blog &#187; 遺伝学</title>
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	<description>田中克範のブログ</description>
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  <title>Katsunori Tanaka&#039;s Blog</title>
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		<title>プロの論文を読む：憲法学編</title>
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		<pubDate>Thu, 09 Jul 2009 15:55:02 +0000</pubDate>
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				<category><![CDATA[法学]]></category>
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		<description><![CDATA[プロの論文を読む：ソフトウェア工学編 プロの論文を読む：経営学・組織論編 プロの論文を読む：信頼性工学編 につづいて，法学に関する論文を紹介する．連載はこれで一応おわりである． 山本龍彦, 遺伝子プライヴァシーの考察：「 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://common.dendrocacalia.org/blog/archives/489" target="_blank">プロの論文を読む：ソフトウェア工学編</a><br />
<a href="http://common.dendrocacalia.org/blog/archives/497" target="_blank">プロの論文を読む：経営学・組織論編</a><br />
<a href="http://common.dendrocacalia.org/blog/archives/509" target="_blank">プロの論文を読む：信頼性工学編</a><br />
につづいて，法学に関する論文を紹介する．連載はこれで一応おわりである．</p>
<p>山本龍彦, <a href="http://ci.nii.ac.jp/naid/110002803680" target="_blank">遺伝子プライヴァシーの考察：「遺伝情報」の分類と憲法的位置付け</a>, 法政論叢, Vol. 38, No. 2, pp. 1-24, (2002)</p>
<p>これも論文そのものは，論文タイトルのリンク先（国立情報学研究所）よりPDFで全文を読むことができる．</p>
<p>文系の論文ではしばしば縦組みで出版され，この論文もそうである．本文中に英文が横を向いて挿入されている部分もあるが，そのような伝統である．もちろん，文系でも横組みの出版物はある．</p>
<p>ページ数24+英文要旨1ページのかなり包括的な内容であり，次のような構成となっている．</p>
<p>一　はじめに<br />
二　アメリカにおける議論と「遺伝情報」の類型化<br />
三　DNA 情報領域<br />
(1) 「情報」としての可能性<br />
(2) 「情報」としての限界<br />
(3) 検討<br />
四　DNA 獲得情報<br />
(1) 遺伝子例外主義の立場<br />
(2) 遺伝子例外主義に反対する立場<br />
(3) 検討<br />
五　DNA 指紋 (DNA fingerprint)<br />
六　結語<br />
（末尾に参考文献を含む註66項目，および英文要旨）</p>
<p>この論文は，主として法学の専門家が読む雑誌に掲載されたものであるが，「遺伝情報」という比較的新しい自然科学の領域に関する憲法学的な議論を展開したものである．内容をみていこう．</p>
<p>「一　はじめに」では，序論として遺伝情報の収集・利用に関する憲法的位置づけが必要であり，それが侵害された際の審査基準等について議論する必要があるという課題の設定がなされている．具体的には，遺伝情報に関する権利は，プライバシー権に関する通説である自己情報コントロール権と同様なのか，遺伝情報を従来の情報と同質のものであるのかといったことである．ここで結論がすでに述べられており，遺伝情報ないし遺伝子情報は多義的に捉えるべきもので，<br />
1) 従来の自己情報と異なり憲法上新たな位置づけが必要な「DNA 情報領域」<br />
2) 「プライバシー固有情報」に属する「DNA 獲得情報」<br />
3) 「プライバシー外延情報」に属する「DNA 指紋 (DNA fingerprint)」<br />
という3つに類型化できるとされている．<br />
なお，この論文は憲法学的総論であって，個別具体的な議論や民事法学的な観点からの議論はしないという，課題の限定もおこなっている．</p>
<p>「二　アメリカにおける議論と「遺伝情報」の類型化」では，まずジョージ・アナスにより1993年に発表されたた論文などから，「遺伝情報」が他の自己情報と異なる特段の保護を要するという「遺伝子例外主義」の見解を紹介している．それに対して「遺伝情報」も他の自己情報と同等に扱うべきであるとの批判的見解があることも紹介している．<br />
そして，アメリカにおける議論では「DNA そのもの」と，「DNA 獲得情報」の2段階で議論されているという．ただし，ここで著者は「DNA そのもの」は遺伝子として意味をなす DNA エクソン部分（DNA 獲得情報）と，遺伝的形質には影響を与えず個人の特定や親子確認に用いられる DNA イントロン部分（DNA 指紋 = DNA fingerprint）の別があり，単純な2段階の議論では不十分であるという見解も示している．</p>
<p>「三　DNA 情報領域」では，DNA エクソン部分について論じられている．この DNA 情報領域について次のような3段階の議論がなされている．<br />
(1)「情報」たりうるという可能性を認めて，自己情報のコントロール対象と認識できることを重視すべきとの考えが示されている．<br />
(2) その一方で，自己情報コントロール権の前提たる「情報」としては，3つの点において限界（本質的限界・主体的コントロール性の限界・生命倫理的観点からの限界）があるという考えが示されている．<br />
(3) それぞれの見方を対比して，DNA 情報領域が古典的プライバシーにおける私的領域としての性質を有するとの見解を示している．また，DNA 情報領域が高度のセンシティブ性から日本国憲法第13条（幸福追求の権利）を根拠としてきた自己情報コントロール権による保護されうるかという論点があることも表明し，第19条（思想および良心の自由）による保護も検討に値するとされている．</p>
<p>「四　DNA 獲得情報」では，DNA 情報領域から得られる遺伝的形質に関する自己情報である．ここでは，DNA 獲得情報を独自的・例外的にあつかうべきとする立場（遺伝子例外主義）とそれを批判する見解が対比されている．<br />
(1) 遺伝子例外主義の根拠として次の3点が挙げられている．<br />
a) 遺伝子疾患に罹患することについての予見可能性が第三者に知られること．<br />
b) 血縁者や類似の人種など，遺伝的近親者の間で遺伝情報が共有されることにより個人のアイデンティティが弱められること．<br />
c) 遺伝的形質による差別やスティグマ化（レッテル貼り）に使われるおそれがあること．<br />
(2) 遺伝子例外主義に対する批判的立場からは，それぞれの点について次のように主張されているとされている．<br />
a) 遺伝的でない疾患についても予見可能性はあること．<br />
b) 遺伝的近親者の健康上の利益も考慮されるべきであること．<br />
c) 遺伝情報でない一般の医療情報もスティグマ化に使われうるものであり，DNA 獲得情報のみを例外とするのは不合理である．<br />
(3) 双方の立場による主張を検討した結果，DNA 獲得情報に関しては他の一般的医療情報と同等のものとみなすことができるという見解がとられている．また，DNA 情報領域と DNA 獲得情報を区別するという著者の見解に対して想定される批判に，あらかじめ反論がなされている．</p>
<p>「五　DNA 指紋 (DNA fingerprint)」<br />
遺伝的形質とは無関係な DNA 指紋については，遺伝との直接的関係はなく個人を識別する情報として扱われ，従来の指先の指紋と同様にプライバシー外延情報と位置づけるのが妥当との考えが示されている．</p>
<p>「六　結語」<br />
著者は遺伝情報を DNA 情報領域，DNA 獲得領域，DNA 指紋に分類し，DNA 情報領域のみが従来のプライバシー概念すなわち自己情報コントロール権の枠組みになじまず，DNA 獲得領域と DNA 指紋については従来の枠組みで議論できるとの考えるに至った．異なる議論はあるかもしれないが，今後も詳細な検討を続けるとしている．最後に，遺伝情報の多義性に言及して，遺伝情報の類型化は不可欠であることが強調されている．</p>
<p>以上のような内容であるが，相反する意見を慎重に検討して自説を導き出すプロセスがわかる論文であるといえよう．</p>
<p>ところで，「遺伝情報」あるいは「情報」などに関する法学的な定義づけが議論の途上にあることもわかる．工学的な情報理論においては，クロード・シャノンによる「情報量」の定義づけがおこなわれたが，「情報」の定義はなされていない．人文・社会科学領域も含む情報学においても情報の定義については議論の途上にある．法学における学説上の議論は立法や法解釈にも影響を与えるものであり，情報学の観点からも注目すべき論点である．また，法学者・法曹家のようないわゆる文系の専門家も，自然科学や工学の発展にともなう議論・研究をしなければならないという例であるともいえる．</p>
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